by 渡部薫 (更新 2016/11/10 11:30)
就任から3カ月。メディアでその姿を見ない日はない。“アンチ小池”まで引き込む求心力。
「鉄の微笑」を浮かべ、日本初の女性都知事が目指すものとは。アエラの井原圭子編集長が
小池百合子都知事に話を聞いた――。
──都知事選を振り返って。終盤の盛り上がりはすごかった。
得票の足し算ではなく、私は化学変化を起こしたかった。だいたい選挙は、「男にしてください!」
っていうのが多い。けれども今回は、悲壮感よりも、楽しいから参加した方々が多かったと思います。
──なぜ、都知事に。国政のトップを狙っていたのでは?
舛添(要一)さんの先の知事選の前に、石原慎太郎さんから「あんた出ないか、都知事はおもしろいぞ」
と言われて。「そうか、そのチョイスはあるな」と気づかせてくれたのは、石原さんです。ただし、いつのまにか
田母神(俊雄)陣営に回られたのは石原さんらしいですけど(笑)。
それと、国で私、いろいろ政策を仕込むんですが、なかなか答えが出ない。議連つくって人を集めて、
議員立法案を出す。でも、遅い。決まらないし、中途半端。むしろ東京でやったほうが早いな、と。
女性の活躍とか、待機児童問題も。
──都庁や都議会をブラックボックスと断じました。
ブラックボックスを開く前に、エンプティーボックスが見つかっちゃった(笑)。情報公開は不十分です。
“海苔弁”みたいに黒く塗って公開しないですね。霞が関でもありがちですが、やはり情報公開は一番の鍵です。
●「高支持率は怖い。高所恐怖症(笑)」
──築地市場移転問題。豊洲以外の選択肢もあるでしょうか。
まだそこまでは至らないですね。科学的に確認していかなければいけない。まず安全性を考えなければ。
いま、話がごっちゃになってしまっている。市場は「食の安全」が第一です。豊洲について「ちょっと待った」
と言ったら「地下空間」が出てきた。建築物としての安全性のはずが、情報伝達の仕方とか組織の
ガバナンスの話に飛んで、混乱している。各党派で皆さん競い合うように調査されたり、
拍車をかけてしまったかなあ、とも思いますね。
https://dot.asahi.com/aera/2016110900217.html?page=1
──都知事として何を成し遂げたいですか。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックは1964年の繰り返しではいけない。
2020年とは、高齢化やIT振興、経済の中心としての再興という東京の「その後」を考える
ゲートウェイ(入り口)です。その上で、目標設定して現在の課題を解決しなければ。
長期的な人口動態を考慮しつつ、減らしていく街づくりもあると思う。
──支持率8割超という世論調査も。
怖いです。高所恐怖症になります(笑)。メディアは上げて下げて、また上げますから。
●「イライラする」日本の国際政治
──小池さんは政治信条的にはタカ派といわれます。8割の支持者の中には憲法9条改正反対派もいます。
核武装発言の真意は。
(質問が)朝日だわねえ(笑)。これは戦術的な発言ですよ。抑止力が重要なのです。
国際政治は冷徹ですよ。邪悪です。時にちゃんと国家を維持するっていうことは、
ソフィスティケートに対応しなければならない。白か黒かということで言い放つのは、
ナイーブすぎると思います。(核兵器を)持つ選択肢は基本的には、ない。
なぜなら計算に合いません。持つことによるプラスとマイナスとが。
そのあたりが日本の国際政治の足りないところじゃないですか。外交でも(ODAをばらまく)
サンタクロースやって、どういう効果がありました? もっと戦略的にやらねば。
イライラしますよ、私は。もっと日本は国際政治の冷徹さを感じるべきだと思います。
(以下リンク先で呼んでください)
https://dot.asahi.com/aera/2016110900217.html?page=2