門井慶喜の史々周国　　安珍清姫伝説の鐘はなくとも　和歌山県・道成寺(産経新聞)

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いまはむかし、ふたりの僧が熊野詣でに出かけました。

ひとりは老人だったけれど、もうひとりは若く、たいへんな美男でした。紀伊半島南端の牟婁（むろ）というところで宿を求めたら、主人である若い女は特に若い

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