起訴された場合、弁護側の対応として考えられるのは、できるだけ裁判の引き伸ばしをすることだ。
例えば、振り出しに戻って「ブレーキを踏んだが効かなかった」と主張し、車両の性能を正面から争点にすれば、公判前整理手続の実施に至る。証拠が膨大にあるから、その開示や検討だけで優に半年以上は稼げる。
独自に専門家に鑑定を依頼したり、複数の鑑定人の証人尋問を実施するとか、同じ車種で過去に発生した事故に関する調査報告書などを入手し、証拠として提出するといったことも考えられる。
事故前から足を悪くして通院していたことや、認知機能が低下していたことを大きく取り上げ、何が真の事故原因だったのか曖昧にさせるというのも一つのやり方だ。
男の厳罰を求める39万筆もの署名についても、もし検察側から証拠として請求されれば、実在する人物か否かや本意なのか否かを一人ずつ確認する時間が必要だとして引き伸ばしに使えるし、最終的には証拠とすることに同意しないという意見を述べ、裁判官には見せないという取扱いにすることもできる。
検察側が証拠として使わず、遺族の証人尋問などの中で署名集めの点に触れたとしても、これを逆手に取り、「男はインターネット上などで徹底的に叩かれ、39万筆もの署名が行われるなど、すでに多大な社会的制裁を受けている」として情状酌量を求めることだろう。裁判所が「それも一理ある」と納得する可能性も高い。
というのも、過失や結果が重大であり、遺族の処罰感情も峻厳だから、示談が成立したとしても、通常であれば実刑判決が見込まれるからだ。
男は現在88歳だから、一審、控訴審、上告審までに要する時間を考慮すると、いずれかの段階で天寿を全うするかもしれない。そうなれば、公訴棄却によって裁判手続は打ち切りとなる。
では、実刑判決が下り、その確定まで手続が迅速に進んだとすると、男は実際に刑務所に収容され、服役することになるだろうか。
その可能性は低いのではないか。
死刑と異なり、懲役や禁錮の場合、70歳以上であるとか、末期ガンで余命わずかであるなど刑の執行によって生命を保てないおそれがある場合、検察官の指揮によって刑の執行を停止することができる決まりになっているからだ。
いずれにせよ、遺族や被害者にとって到底納得できない結果になることは間違いない。
※下記リンクより、一部抜粋。続きはソースで
https://news.yahoo.co.jp/byline/maedatsunehiko/20191112-00150526/
document.write(” + ”);
Source: アルファルファモザイク